秋季防除効果に違和感を感じるのは、回数や薬剤効果に大きな差がないことがあります。
黒星病防除にあたり薬剤ごとの防除価(防除効果)はとても重要。
しかし、秋季防除においては薬剤種類による効果に大差はない。
秋季防除の2回実施と3回実施でも効果に大差はない。という実験結果があります。
これは実体験でも経験のある秋季防除の変わった特徴です。
秋季防除で問題のなるのは、その効果が翌年まで現れず確認することができない点です。
また、果実がない状態で防除価(防除効果)の高い薬剤を使用することは、翌年に黒星病の被害が発生した時の薬剤選択の幅を狭めるため、薬剤選択も難しいです。
これまで実体験でも感じた秋季防除における特徴として、
・薬剤の種類による大きな効果の違いは認められれない
これは黒星病多発した年に周囲の果樹園と共同でDMI(EBI)剤を使用したことがあります。
その後、別の年に同様に黒星病多発の年があったとき、有機銅剤を使用してもDMI(EBI)剤と使用した年との違いを感じることが出来ませんでした。
この体験を肯定するように、オーソサイド(キャプタン剤)による防除とオキシラン(キャプタン剤+有機銅剤)との効果に違いは見られない。といった農業試験場のデータもあります。
この2つの薬剤、通常の防除であれば防除価(効果)と残効性に大きな違いがあることは言うまでもありません。
効果と残効性に大きな違いがある二つの薬剤であるにも関わらず、防除に大きな違いがないという結果が出るのは秋季防除ならではの特徴と言えます。
・秋季防除の2回実施、3回実施でも大きな違いがみられない
秋季防除を3回実施した翌年の発病について、2回実施した時の翌年と差を感じないことがあります。
この体験を肯定するような農業試験場による実験データもあります。
秋季防除の実施において適正な時期や薬剤選択について様々な資料があるものの、その効果の良し悪しには不確定要素が大きく、効果的に結果に繋げることは難しいことがわかります。
とは言え、実施すれば一定の防除効果は安定してあります。
秋季防除を実施した結果、
翌年の影響に多少ぶれがあってもそんなものと納得し、良い意味で適当に実施することが必要な大切な防除です。
なお、経験から秋季防除について真剣によりよい効果を考えて実施しても、骨折り損となるように感じます。
詳しくは、果樹栽培ナビ > 梨の病気被害と対策
> 黒星病 > ナシ黒星病対策専門資料
> ナシ黒星病の秋季防除
https://www.kajyu.org/byokuroaki.html