黒星病の治療薬となる薬剤を纏めました。梨の薬剤紹介ですが他の植物でも参考になるはずです。
黒星病の防除における薬剤には予防剤と治療剤があり、治療剤には黒星病の胞子が発芽した後でも殺菌する効果があります。
しかし、薬剤名称のみでは予防剤と治療剤の判断は難しく、治療効果における防除価(効果の強さ)も異なることから本職でもわかりにくいため纏めてみました。
黒星病の治療剤といっても現れた病斑がきれいになくなるわけではありません。
あくまで発芽した胞子によって細胞への侵食をはじめた後でも殺菌できるだけでです。
上手く行けば感染後で病斑が現れる前の段階にある果実等を救うことができます。
また、胞子を飛散させる病斑を殺菌により死滅。または、胞子の飛散を防止することができます。
このように治療剤は良いことばかりに見えますが、治療剤は基本的に耐性菌リスクが大きく多用することができません。
実際、梨の黒星病ではトップジンM水和剤が既に耐性菌により効果が無くなっています。
また、治療効果により殺菌を期待するには効果が十分ではないため、病勢が強い(感染が多い)場合には、感染拡大を防ぐことは出来ません。
黒星病の防除では、
① 予防剤で感染を予め防ぎ発症しないようにする。
② 発症した場合、病斑がついた葉や果実を物理的に除去して処分する。
③ 感染しているが病斑となる前(肉眼で解らない感染部)を治療薬で殺菌する。
④ 感染していない箇所が新たに感染しないよう、予防剤で保護することで感染を防ぐ。
⑤ 防ぎきれないことで発症した場合、病斑がついた葉や果実を物理的に除去して処分する。
③に戻る
このサイクルを繰り返し、難しい黒星病の防除を実現します。
文章にすると簡単です。
しかし、生活がかかる本職では手間がかかり、薬剤選択に頭を悩まし、費用もかかる難しい作業の一つです。
更に耐性菌リスクを考慮した治療剤と予防剤の混用など、紹介しきれない項目は多岐にわたります。
それでも治療剤に関する情報は少ないので、役に立つのでないでしょうか・・・
治療剤について詳しくは、
果樹栽培ナビ > 梨の病気被害と対策
> 黒星病 > ナシ黒星病対策専門資料
> 黒星病殺菌剤の予防剤と治療剤