梨の果樹園農家による梨の育て方や病害虫に関する防除。使用する農業機械のメンテナンス。ナスやきゅうり等の家庭菜園の園芸方法など、農業に関する作業方法や管理方法、また果樹園を管理するための防風林等の農業設備等を日々の作業に合わせて詳しく紹介しています。

ファンタジスタは梨の芯腐れ症に効果はあるが、その防除効果が高いわけではない

芯腐れ症の防除時期
 芯腐れ症で効果が期待された比較的新しい薬剤であるファンタジスタ顆粒水和剤は、黒星病と芯腐れ症の同時防除が出来ると注目を集め、多くの地域で開花時期に用いる薬剤として採用されています。
 しかし、平成25年度の鳥取県農林総合研究所の試験においてチオノックフロアブルと比べて劣る防除効果であったと記載されています。

 主に幸水梨の花から幼果時期に感染し、収穫期に内部から腐敗する芯腐れ症。出荷・販売時に外観から判断できないこの症状は、全国の梨農家を大いに悩ませています。
 このため、この症状の感染/防除時期である梨の花の開花から幼果時期である4月から5月の防除は非常に重要な時期であり、黒星病や害虫等のことを踏まえ、更に刺激に敏感な花や幼果、新葉の時期であるため使用できる限られた薬剤の中から慎重に選択され防除が行われています。
 この時期に使用可能であり、黒星病と芯腐れ症の同時防除ができるファンタジスタ顆粒水和剤は全国の梨農家のが注目した薬剤です。
 しかし、管理人の所感ながら今一つ芯腐れ症の効果を実感することができず、予てより疑問を抱いている薬剤でもあります。
 芯腐れ症の発症状況は、収穫時期までわからず、更にその年の天候や複数の薬剤効果があるため個人で比較対象等による結果を把握することが出来ません。
 このため、管理人の感覚的ものとなりますが当果樹園では毎年4月下旬に使用していたデランT水和剤(2018年失効)が使えなくなってから、芯腐れ症の発生件数増えたように感じます。その後、満開期にファンタジスタ顆粒水和剤を用いるようになりましたが、芯腐れ症の発生件数が減少(改善)が見られたように感じることはありませんでした。
 このため、ファンタジスタ顆粒水和剤の芯腐れ症に関する防除価に関する試験データの公表をずっと待ち望んでいました。
 今回、たまたま他を調べる中で目についた鳥取県農林総合研究所の平成25年度業務年報内に
「新規登録農薬であるファンタジスタ顆粒水和剤のナシ病害に対する防除効果を明らかにする目的で、今回の試験ではナシ心腐れ症(胴枯病菌)に対する防除効果を確認した。その結果、ファンタジスタ顆粒水和剤は、対照薬剤のチオノックフロアブルと比べて劣る防除効果であり、今回の試験では防除効果は認められなかった。」
 の一文を発見し、腑に落ちました。
 とは言え、黒星病に効果があり、芯腐れ症にも多少の効果があるだけでも使い勝手の良い薬剤には変わりません。
 しかし、芯腐れ症に重点を置きたいときの防除体系の検討では、この一文を頭の隅に置いて防除体系を立案しなければいけませんね。
心腐れ病に効果のある薬剤については、
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