梨の黒星病にスクレアフロアブルがDMI剤のスコア顆粒水和剤に引けをとらない強力な防除価
梨の黒星病に対する防除の難しさが年々増し、本年2017年は管理人の地域でかなりの被害を出し、本業の梨農家にとって頭の痛い問題です。
さて、2015年の10月に住友化学が新規農薬登録を取得したスクレアフロアブルが開花期に使用できる上、条件によってスコア顆粒水和剤と同等の高い防除価を示すデータがあり今後の黒星病防除への活用が期待されます。
梨の黒星病防除におけるスコア顆粒水和剤と同等の防除価を示す効果であることが、如何に驚異的な数値であるかは言うまでもありません。
スクレアフロアブルの系統は、ストロビードライフロアブル・アミスター10・ファンタジスタ顆粒水和剤と同じストロビルリン系剤。
このため、耐性菌リスクの大きい薬剤です。
薬剤作用として、
・胞子の発芽阻害
・発芽管伸長阻害
・感染、禁止成長阻害
・病斑進展阻害
・病核形成阻害
・胞子のう盤形成阻害 と広い作用効果
また、浸透移行性を備え、梨に対する薬害リスクが小さく開花期にも使用できる殺菌剤です。
メーカーの製品説明に治療効果が明記されていないものの、作用内容から予防効果だけでなく治療効果が期待されます。
平成28年の長野県南信農業試験場によるスクレアフロアブルと他薬剤の試験データによると、
・スコア顆粒水和剤
希釈4000倍 防除価96.8 系統DMI剤
・スクレアフロアブル
希釈3000倍 防除価99.5 系統QOI剤
・ユニックス顆粒水和剤47
希釈2000倍 防除価91.8 系統AP剤
・ベルクート水和剤
希釈1500倍 防除価88.5 系統グアニジン剤
DMIのスコア顆粒水和剤を超える防除価を示す試験結果となっています。
試験データは単年のみの比較であるため、各種条件などによる誤差も大きいことを考慮しても大きな期待が持てる数値となっています。
今後の梨栽培への導入においては、
管理人は現時点で混用事例が入手できていないこと。
スピードスプレーヤー1車(500リットル)あたりで、2,860~4,300円とやや金額が高めとなること。
現行で防除計画において重要な薬剤であるストロビードライフロアブルと同系統であるため、耐性菌リスクの観点から年間の防除予定に当初より組み込まないと使用が難しいこと。
これらを含めても黒星病防除において大きく期待できる薬剤として注目されます。
スクレアフロアブルの概要
商品名:スクレアフロアブル
有効成分:マンデストロビン 40.0%
梨に対する適用:うどんこ病、黒星病、輪紋病
希釈倍数:2000~3000倍
使用回数:3回以内※
販売価格:250ml 約4,300円
※QOI剤のため他のQOI剤との総合使用回数2回以内を管理人は推奨
薬剤効果について詳しくは、
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