梨の秋季防除を開始 2018年に向けた最初の防除の開始です。
新高梨の収穫を無事終了し、果樹園に残る梨は新興梨のみとなりました。
幸水梨の落葉も見られることから、黒星病の第一次感染となる芽基で越冬する黒星病菌の対策として、秋季防除を開始しました。
しかし、これを怠ったことによる影響はあまりに大きく(経験あり)、決して軽視できない大切な防除作業です。
本年は、昨年と比較して幸水梨基準で落葉が遅く、作業中の確認状況では未だ芽基(鱗片生組織)が露出した芽はかなり少ない状況でした。
所感で露出芽は1割程度。約10日程度遅れているといったところでしょうか・・・
秋季防除における薬効については、薬剤に違いによる効果の違いが小さいというデータもあることから、薬剤の種類より実施時期と実施回数が重要。
年間の防除予定を考慮し、耐性菌リスクの小さい薬剤の中から選択することが良いように思われます。
管理人の候補として、黒斑病やうどんこ病を考慮しない黒星病基準で、
①オキシラン水和剤
②ドキリンフロアブル
③オーソサイド水和剤80
④チオノックフロアブル
⑤ベルクート水和剤(ベルクートフロアブル)など
前後の年の防除暦を照らし合わせ、使用回数を考慮した薬剤選択が求められます。
昨今、黒星病のDMI剤における耐性菌問題から、④、⑤の使用頻度が高いことから①~③の薬剤で実施する予定です
本年の防除では①オキシラン水和剤と③オーソサイド水和剤80で秋季防除を実施予定です。
なお、①オキシラン水和剤と③オーソサイド水和剤80は共に、有効成分にキャプタンを含む同系統の薬剤であり、①と②は有効成分に有機銅を含む同系統の薬剤。
キャプタンや有機銅は耐性菌リスクが少なく、古くから使用される薬剤で、安定した効果が期待できる薬剤です。
しかし、地域によっては秋季防除において異なる系統の薬剤を使用し、耐性菌リスクを回避する指針が出されている地域もあります。
管理人の防除指針では、耐性菌リスク回避にあたり秋季防除に使用する有機銅とキャプタンは、使用回数の範囲内であえば耐性菌リスク回避の対象から外れているため使用しています。
効果の参考としては、秋季防除を現行の体制にしてから春先の芽基感染からの広がりはほぼ0(探しても発見することができない)となりました。
春先の芽基感染を稀にでも見かけることがあるのであれば、秋季防除の改善できる可能性があるかと思います。
秋季防除について詳しくは、
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> ナシ黒星病の秋季防除