梨の果樹園農家による梨の育て方や病害虫に関する防除。使用する農業機械のメンテナンス。ナスやきゅうり等の家庭菜園の園芸方法など、農業に関する作業方法や管理方法、また果樹園を管理するための防風林等の農業設備等を日々の作業に合わせて詳しく紹介しています。

梨の果肉の透明な部分は密症と言われる生理障害。食べれますが食感が悪く主に豊水や新高梨に発生します。


 幸水梨の収穫を終え、豊水梨の収穫が間もなく開始されます。豊水は人気品種の幸水と比較し、糖度が同程度からやや高め。含む酸味により食味ではさっぱりとした甘さが特徴の人気のある品種です。
 しかし、外観で判別し難い果肉の一部が透明となるみつ症と呼ばれる生理障害が発生し易い品種であり、収穫と選果作業に気を使う品種です。

 豊水梨は適正な時期(成熟状態)に収穫すると、好みの個人差はあれど幸水梨より美味しくなる品種です。
 しかし、一般の多くの方に豊水梨は酸っぱく、幸水梨の方が美味しいと評価されています。
 この主な原因は、豊水梨が持つ酸味が原因。
 特に収穫が早いと酸味が強く残り、成熟するにつれて酸味が薄れていきます。このため、適正な成熟状態で収穫すると甘味と酸味のバランスが非常に良く、甘いながらもさっぱりと後味が良い美味しい品種です。
 しかし、市場に出回る多くの豊水梨について収穫時期が幾分早く、この適正な時期での収穫を阻害する大きな原因の一つとなっているのが、果肉が透明となるみつ症の発症です。
 みつ症は生理障害であり、リンゴの果肉が透明になるみつ症と同じものです。しかし、梨ではシャキシャキとした食感が損なわれるため食味が大きく低下します(美味しくない)。
 また、外観での判別がやや難しく、出荷品に混入し易いことから多くの梨農家を悩ませる症状です。
 これを低減する手段の一つとして、早期収穫が多く用いられています。また、基本的に産地では出荷とその後の流通を考慮して早期収穫を行うことが一般的となっています
 豊水梨の販売では、売れ残りなどの在庫を抱えない直売等において、出荷流通のための日持ちの考慮が少なくてすみます。
 また、みつ症の判別(選果作業)でも出荷作業に比べ慎重に判断することが出来るため、混入する割合が少なく適正時期による収穫による最高のパフォーマンスを遺憾なく発揮することができます。
 当果樹園のお客様においても豊水梨のファンは多く、幸水の販売時期から豊水梨指定の注文を多く受付ます。
 これから豊水梨が市場に出回ると果肉が透明であった。歯ごたえがない等、運悪くみつ症の梨を購入したことによる疑問が多く発生するのではないでしょうか?
 単純に古くなって同様の状態となることもありますが、直売所等で購入して間もない期間で食したのであれば、次回来店した際に伝えると代替品を貰える場合があります。スーパー等ではそのような対応が難しいのかもしれませんが、少なくとも当果樹園の直売では謝罪と代替品により対応しています。
 みつ症は腐っている訳ではないので食べても問題なく、スムージー等にすれば何の支障ありません。しかし、多くの方がそのまま皮を向いて食べる果物ですので、発症の低減と特に出荷・販売品への流出は何とかしたいというのか梨農家の共通の悩みです。
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