梨の落ち葉が舞う頃は、芽基に黒星病に感染する時期であり翌年の被害となる重要な時期です。
一部の晩生品種を除き、殆どの梨の収穫を無事終え果樹園では葉が色付き落ち葉が舞う時期となりました。
果樹には実りもなく、一見すると今年の重要な作業は全て終えたように見えます。しかし、この落葉時期は梨の大敵である黒星病が芽基に感染し、翌年の春に大きな被害を出す極めて重要な時期です。
葉が色付き、落葉が完了するまでの間は、葉に残る黒星病が雨水を伝い葉芽・花芽の芽基に移ることに注意することが大切です。
本職の梨農家では、落葉時期に起きる芽基の黒星病の感受性が高い状況を「鱗片生組織 露出芽」。この時期に行う防除作業を、「秋季防除」と呼称しています。
この秋季防除を重要としているのは、黒星病が感染した芽基は翌年の第一感染原因となることです。
また、この芽基の黒星病菌は翌春に鱗片内部にあることで薬剤防除が難しく、感染箇所が多いと春先の黒星病の防除が極めて難しく、大きな被害の発生や、感染部位の除去など多大の手間が必要となります。
秋季防除では、実施時期が重要であり収穫を終えた10月から11月中旬まで(落葉が完了するまで薬効が残る程度)2~3回程度実施するだけです。
また、秋季防除では薬剤種類による効果に大きな差はないとされていることから、安価かつ耐性菌リスクの少ない予防薬(有機銅剤やキャプタン剤)で行うことが出来ます。
実際、多くの地域ではオキシラン水和剤(有機銅剤+キャプタン剤)やオーソサイド水和剤80(キャプタン剤)等が用いられています。
より効果を高めるには徒長枝を事前に倒す。枝密度の高い場所の粗剪定を先に行うなどの手法もありますが、毎年春先に黒星病が蔓延している場合には、この時期に防除についてよく考え、実施してみると大きな改善を期待することが出来ます。
秋季防除については詳しくは、
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> ナシ黒星病の秋季防除
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