黒星病は芽基部りん片生組織内部に侵入して越冬するため、感染し易くなる10月から11月の秋季防除が重要です。
黒星病が越冬する主な場所は、感染した葉が落葉して地上に残るもの。落葉前の感染した葉等から降雨により芽基部りん片生組織に侵入するものがあります。
特に後者の芽基部りん片生組織での越冬は、翌年に第一次伝染源として重大な感染源となります。
秋季防除の実施時期は、黒星病の感染適温(平均気温 15~21℃)で芽基部りん片生組織の露出が多く、葉が落葉するまでとなります。
地域差はありますが具体的には10月~11月の2か月間。
落葉状況と薬剤の残効期間考慮し、14日間隔で防除を2~3回程度行うことで芽基部りん片生組織での越冬を防ぐことが出来ます。
冬に向けての防除であるため、実施後に見た目での変化はほぼありません。
このため、秋季防除は黒星病を軽く考えている果樹園で軽視されることもあります。
しかし、これを行い芽基部りん片生組織での越冬を減らしておくと、翌年の防除に非常に大きな差があります。
また、秋季防除では防除価が高く耐性菌リスクが高いDMI(EBI)剤やストロビン系薬剤を使用せず、耐性菌リスクの小さい予防薬で大きな効果が期待でき、耐性菌リスクを考慮した防除体系にも大きく寄与することができます。
感染した葉が落葉して地上に残り越冬する対策としては、落ち葉を処理することが有効です。
主な処理方法としては、園外へ運び出す。穴を掘り地中に埋設するなど。
しかし近年では、省力による手段としてトラクターのロータリ(耕うん)による処理。草刈り機による粉砕処理でも効果が確認されています。
これら秋季防除と落ち葉処理により、黒星病の越冬を防ぐことが出来ます。
詳しくは:
果樹栽培ナビ > 梨の病気被害と対策 > 黒星病 > ナシ黒星病対策専門資料