梨の果樹園農家による梨の育て方や病害虫に関する防除。使用する農業機械のメンテナンス。ナスやきゅうり等の家庭菜園の園芸方法など、農業に関する作業方法や管理方法、また果樹園を管理するための防風林等の農業設備等を日々の作業に合わせて詳しく紹介しています。

10年に1度レベルの高温で花芽が急成長。梨の開花が4日程度早くなりそうです。

10年に1度の高温による果樹の影響
 3月下旬に発生した数日の夏日のような気温上昇により、開花が遅れ気味であった果樹園の花芽が急成長。予定では蕾が膨らみりんぽう脱落期となる頃ですが、果樹園の梨の花芽が一気に伸び始めました。
 昨日から再び気温が低下したことで花芽の成長は一旦は鈍化するでしょう。しかし、それでも開花は当初予定より4日程度は早くなる見込みです。
 開花前後の重要な防除作業のタイミングが注意が必要です。

 春先に休眠から目覚めた果樹の花芽が膨らみ(3月下旬のりんぽう脱落期)果実が幼果(5月中旬)となる頃までは、その年の収穫を大きく左右する重要な時期です。
 梨栽培では特に黒星病の影響が大きく、防除作業は用いる薬剤の種類や使用するタイミングについて、気温や天候(降雨状況)。果樹の状態等を考慮して実施することが必要となります。
 今回の高温による花芽が一旦伸びて再び低温となる状況は、単に開花予定が乱れるだけではありません。
 簡単に予測しても黒星病が感染し易い(感受性が高い)時期が長くなる。
 果実の軸となる花芽の伸びが短くなり、果実の変形果が多くなる。など、その影響は大きいものとなります。
 特に地域によって高温により一旦開花まですすみ、開花のタイミングで低温に曝されると人工授粉などを行っても花粉が発芽せず、果実として結実しないなどより深刻な影響がでる場合もあります。
 幸いにも開花に至る前であったため、最悪な状況からは外れそうですが今回の高温は本年の収穫に大きな影響を与えそうです。
 乱れた開花予定による影響が少なくなるよう、今後の作業に注意が必要です。
 なお、梨の受粉の場合、花粉は雌蕊に付着した際の最適気温は25℃。気温10℃では花粉が付着しても発芽せず受精せずに結実しません。梨の開花は4月上旬であるため、気温15℃以上があると理想的です。
 更にミツバチを含む昆虫による自然受粉を期待する時では、20℃以上あると理想的です。
 低温による果実の結実に与える影響について詳しくは、
 果樹栽培ナビ > 果樹の栽培方法(梨の育て方)
 > 梨の受粉・人工授粉方法