梨の果樹園農家による梨の育て方や病害虫に関する防除。使用する農業機械のメンテナンス。ナスやきゅうり等の家庭菜園の園芸方法など、農業に関する作業方法や管理方法、また果樹園を管理するための防風林等の農業設備等を日々の作業に合わせて詳しく紹介しています。

カスケード乳剤は製造中止ではありませんが、メーカー欠品状態。製造再開は2026年以降らしい


 ハマキムシ類、ヨコバイ類、スリップス類、ハモグリバエ類などの防除に使用するカスケード乳剤が多くの販売店で欠品状態が続いています。
 メーカー欠品によるもので製造停止とのことで、真偽の確認ができていませんが製造再開は2026年以降となるらしいです。

 BASFアグロ(株)の殺虫剤であるカスケード乳剤は、有効成分フルフェノクスロンによるキチン質合成阻害の昆虫生育阻害剤(脱皮素材作用)として多くの農産物に使用される殺虫剤です。
 幼虫に対して高い効果があり、遅効性ですが効果が長く持続する殺虫剤です。
 当園の梨の栽培では、ハダニ類やハマキムシ類の防除として、越冬した第1回目の発生時期に合わせて4月下旬から5月上旬頃にに使用しています。
 ハマキムシの幼虫が一度大量発生し、葉を巻く(綴り合わせる)と防除が非常に困難となります。場合によっては枝ごと物理的に除去するなどの必要もあるため、被害が発生する前に防除することが重要な害虫です。
 カスケード乳剤は比較的高価な殺虫剤です。しかし、当果樹園においてはハダニ類やハマキムシ類に対して毎年予防的に使用ことで安定した効果を得ることが出来ており、その効果について信頼している薬剤の一つです。
 しかし、今回の欠品は本年(2025年)だけでなく来年(2026年)の防除にも大きく影響しそうです。
 幸いにも当園では購入済であったため本年の防除では問題なく使用することが出来ました。しかし、既に販売店は欠品状態であり来年(2026年)使用分を確保することが出来ませんでした。
 製造再開がいつになるかは判りませんが、恐らく2026年の4月の使用は難しいのではないでしょうか?
 ハマキムシ類に効果がある薬剤としては、オルトラン水和剤やスミチオン水和剤・乳剤が一般的。
 梨では、有機リン系の殺虫剤であるスミチオン水和剤・乳剤、マラソン乳剤、サイアノックス水和剤。この他、合成ピレスロイドのトクチオン乳剤等で効果があります。この他、チョウ目害虫に効果のある殺虫剤であれば、適用表にハマキムシ類の名前が無くてもある程度効果が期待できます。
 しかし、薬害や効果、持続性などはカスケード乳剤とは異なるため、その代替としての使用には十分に注意をしなくてはならず、ハダニ類・ハマキムシ類ともに一度発生すると厄介な害虫であるため頭を悩ますことになりそうです。