梨の果樹園農家による梨の育て方や病害虫に関する防除。使用する農業機械のメンテナンス。ナスやきゅうり等の家庭菜園の園芸方法など、農業に関する作業方法や管理方法、また果樹園を管理するための防風林等の農業設備等を日々の作業に合わせて詳しく紹介しています。

スコア顆粒水和剤が黒星病に対する効果が低下したことから当果樹園での使用を終了。今後、同一成分を含むアクサーフロアブルに変更します。

 梨の難病である黒星病防除では、耐性菌の発達による既存の薬剤での防除効果が大きく低下し深刻な問題となっています。
 従来、特に大きな防除効果があったDMI剤である主成分ジフェノコナゾール水和剤のスコア顆粒水和剤における防除効果は深刻であり、地域差はあるものの当果樹園でも近年では明らかに効果が低下していました。
 このため、チオラム剤(チオノック・トレノックスフロアブル)やイミノクタジンアルベシル酸塩水和剤(ベルクート水和剤・フロアブル)による混用により防除効果を維持していました。しかし、混用による運用にも限界を感じることからスコア顆粒水和剤の使用を終了することとしました。
 今後は、スコア顆粒水和剤の成分のフェノコナゾール水和剤とゼミウム(成分名:フルキサピロキサド)の2剤が混合されたアクサーフロアブルに変更します。

 薬剤の変更に当たり、黒星病防除で考えるとスコア顆粒水和剤とアクサーフロアブルでは希釈倍率の違いによりアクサーフロアブルの方がコストが割高となります。
 また、幼果期(4~5月)での使用では芯腐れ症に対する同時防除のためチオラム剤を混用する場合、黒星病に対する防除効果が得られると考えられ、スコア顆粒水和剤で十分と思われることからアクサーフロアブルに変更する必要はあまり感じられません。
 当果樹園がスコア顆粒水和剤の使用終了に至ったのは、4~5月に使用するDMI剤はマネージ、インダー、アンビルの何れかでありスコア顆粒水和剤の使用することがあるのは6~7月であること。
 6~7月での輪紋病防除を兼ねた使用では希釈倍率から価格差がほぼないこと(割高とならない)。
 使用の際、殺虫剤又は殺ダニ剤を混用するため、チオラム剤等を加えると3種混用となり混用によるリスクが高くなるためです。
 アクサーフロアブルは混用事例が公表されていることら、低リスクで殺虫剤又は殺ダニ剤を混用することができます。
 単純に効果だけでなく、使用時期や労力を考慮した総合的な判断で今回の変更となりました。
 黒星病防除は梨の果樹園経営者にとって共通する悩みであるため、参考までに取り上げてみました。


混用事例にアクサーフロアブルを追加しました。
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