デランフロアブル価格の値上がりが大きく、代替え薬剤の検討にジマンダイセン水和剤を薬剤表に追加
梨の芯腐れ症に大きな効果があるデランフロアブル。
一時期は生産が滞ることがありましたが、現在は入手が可能となっています。しかし、販売価格の値上がりが大きい薬剤であり、購入に躊躇いが生じます。
そこで芯腐れ症に効果のある薬剤を見直したところ、ジマンダイセン水和剤が一部条件付けで利用出来そうです。
デランフロアブルは耐性菌リスクや作業時のかぶれ等の理由から、当果樹園では年1回使用します。使用回数が少ないものの、春先に黒星病と芯腐れ症の同時防除に使用できる数少ない薬剤として入手できなかった年を除き毎年使用しています。
しかし、近年その入手価格の値上がりが看過できません。
当果樹園の持つ記録では、2017年頃の購入価格が2,200円程度。しかし。本年(2024年)は3,000円を超えています。(参考に2017年に購入した店舗では約3,500円に値上がり)
特別高価な薬剤というわけではありませんが、値上げが幅が大きく、コスト面でみた時には非常に気なる薬剤です。
そこで、芯腐れ症に対する効果がある薬剤がないか見直したところ、ジマンダイセン水和剤に大きな効果があるようです。
ジマンダイセン水和剤は有機硫黄系(ジチオカーバメート系)の保護殺菌剤で農業で長く使用されている薬剤です。
当果樹園でも10年以上前に使用した覚えがありますが、近年は全く使用していなかった薬剤の一つです。
梨の使用では、適用病害中に赤星病、黒星病、黒斑病、輪紋病が明記されていますが、胴枯れ病菌(芯腐れ症)の記載はされていません。
しかし、ある試験結果では芯腐れ症に対してチオノック・トレノックフロアブル(チウラム剤)より高く、デランフロアブル(ジチアノン)に次いで高い効果が示されています。
また、黒星病に対しても高い効果を示し、価格も倍率500倍で1㎏あたり2,000円程度とデランフロアブルより安価です。
一方、新葉に対する薬害が確認され、芯腐れ症の重点防除時期である落花~幼果期に使用できない薬剤でもあります。
梨の防除でデランフロアブルを開花前(発芽から出蕾期)に使用するのであれば、ジマンダイセン水和剤への置換が可能となるはずです。
また、全国の防除暦を見てみると、実際この時期にジマンダイセン水和剤を用いている地域もあるようです。
落花~幼果期の重点防除時期に使用できませんが、残効により花の時期に一定の効果が期待できそうです。
今回、芯腐れ症に対する薬剤防除を調べ直す過程で、ファンタジスタ顆粒水和剤がチオラム剤より効果が低かった(単年度の検証なため正確性はまだない)とする結果や、オーソサイド水和剤(キャプタン)も芯腐れ症に効果はあるが新葉に対する薬害があるなど、色々な情報を得ることが出来ました。
特にファンタジスタ顆粒水和剤の芯腐れ症に対する効果については、防除価を得られず以前よりかなり気になっていました。正確な検証結果が待ち遠しいところですが、芯腐れ症に対する防除として過度な期待は出来ないかもしれません。
ジマンダイセン水和剤を追加した表
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